初公開 Hatsu kōkai 1981

よその子

これは、トリイが再読できない唯一の本です。1日に20ページというものすごいスピードで書かれ、そのとき実際の授業でも忙殺されていたトリイには、原稿を読み返す暇もほとんどありませんでした。トリイは、「あの書き方は本当にまずかった」し、そのために彼女の物語が台無しになっているので、いまでは読むことができないと言っています。トリイはもう一度振り返って読むことができない理由をもう一つ挙げています。『よその子』は「一種の意趣返しになってしまった」のだとか。本の中でエドナとして描いた教師やメインストリーミング法[訳注:特殊児童を普通学級に戻す法律]に対する鬱憤をはらした格好になってしまったのだそうです。

「これを書いたとき、怒りがもうちょっと収まっていたら、もっといい本になっていたかもしれない」と彼女は言っています。