初公開 Hatsu kōkai 1991

幽霊のような子

『幽霊のような子』を執筆する中で、トリイが特に取り上げたいと思った問題は、環境に適応できない行動を解釈する上で専門家が抱える難しさでした。『幽霊のような子』を執筆しているとき、トリイが心配したのは、悪魔のような宗教的虐待、多重人格障害など、様々な「当世風心の病」に答を見いだそうとする人が大勢出てくるのではないかという点でした。そして、専門家の立場から、正確な状況を判断することがどれほど難しいことか、偏見のために診断が左右されることがどれほどたやすいことかを示したいと考えていました。

『幽霊のような子』は、出版社を狼狽させ、書き直しのために差し戻されたトリイの初めての本でした。出版社が気に入らなかったのは曖昧な結末です。これは実話であり、フィクションではありませんから、トリイはもっとふさわしい結末を考え出すのに苦労し、長々しいエピローグを含めることで解決しました。そうなるまでに、15回も書き直さなければ受け取ってもらえませんでした。

『幽霊のような子』は、 『シーラという子』に次いで、トリイの本では2番目に人気の高い本になりました。5ヶ国でベストセラーになりました。

トリイは、ジェイディに実際になにが起きていたのか、いまだに確信が持てません。